年商100億ECショップ運営が語る、カートシステムの選び方

私は年商100億規模のECショップを運営責任者をやっているものです。

ECに携わって10年になりますが、EC事業の立ち上げに祭して、本当に注意してもらいたいことは、システム選びをしっかりやるべきだということです。

私はこれまでの経験の中で、約30ショップの運営してきましたが、システムがボトルネックでEC事業の可能性が止まってしまうことを多々経験してきました。

私がいうのもなんですが、EC業界にいる人たちはITリテラシーが想像以上に低いです。

だからこそ、簡単に営業トークに騙され、将来の可能性を閉ざされてしまうことは多々あります。

年商100億以上を目指せる商品なのに、そもそもシステムのインフラがしっかりしていないから、受注数が数十万になると顧客検索すらできなくなったりします。システム提供会社として信じられないレベルの会社がいることを、同業者には本当に認識してもらいたいと思っています。

この記事では、カートシステムの選び方について、ざっくり解説していきます。

1. カートシステムは機能比較で選んではいけない

カートシステムを選ぶ際に、検索すれば、様々なカートシステムがヒットすると思います。

そこでよくやってしまいがちなのがこの機能比較です。

なぜ、この機能比較をやってはいけないかというと、そういうざっくりとした粒度で比較した場合、ほとんどのカートシステムは全て◯になってしまうからです。

例えば、CRMなどで重要だと認識されているステップメールの有無。

ステップメールを搭載しているカートシステムでいうと、侍カート、ECForce、たまごカート、リピスト、ecbeingなど様々なものがあります。

しかし、ステップメールを、ただただ顧客にメールマガジンを遅れるだけでステップメールと言っているものもあれば、顧客セグメントをしっかりきれて、ステップメールのスケジュール設定までできるものもあります。

後者でなければ、正直使い物になりません。

しかし、機能比較ではどんな形であれ、搭載されたいたら◯という書き方をしているのです。

単純な機能で選ぶのではなく、EC事業の戦略としてやりたいことをしっかりできるカートシステムを選ぶことをお勧めしています。

ただ、やりたいことは時流の流れやショップの状況によって日々変わります。

だからこそ、常に最先端の機能をアップデートし続ける会社を選ぶべきだと思います。

2. 開発力で選べ

かなり主観的な表現になってしまうのですが、私はITリテラシーがそこそこ高いです。自分でSQLを叩くぐらいのことはできます。

だからこそわかるのですが、カートシステムの会社さんは、一見同じような会社ではありますが、開発力が全然異なります。

ecbeingやfugure shopのような老舗で、動きは遅いがしっかりしています。

ただ、個別開発などできる一方で費用の桁が1つ上がります。

リピストやたまごカート、侍カートは日本のベンチャー企業にあるあるなのですが、開発力は正直、少し弱いです。たまごカートを提供するテモナさんはオフショア開発ですし、何かあった時に対応が難しいことが発生したなんて話はよく聞きます。(実際、どことはいいませんが、私もある案件でひどい目にあいました・・・。)

ECForceは、ちょうど間って感じです。というのも、実際、100億規模のショップも全く問題なく運用できており、ベンチャーカートで売上規模が上がってしまい、でもスクラッチで自社専用システムを開発するほどITエンジニアのいない企業の乗り換え先になっているようです。

ある程度の開発は、SaaSの汎用開発の中に盛り込んでくれることもあるらしく、業界では比較的、評判はいいですね

時流の流れ的には、スクラッチで多大なコストをかけて構築するというよりは、システムはどんどんSaaSモデルに切り替わっています。

(実際、SIer業界なんかは相当厳しいみたい。)

そうなると、将来的にどんなシステムになろうとしてるのか、そして、それを実現できるだけの開発力と、何かあった時に解決できる技術力があるのかでシステムは選ぶべきです。

3. サポート力で選べ

EC事業とはよくよく考えると、本当にすごい事業だなぁとよく考えさせられます。なぜなら、ただのシステム上だけで、何億というお金が動いてるわけです。

そうなったとき、ITリテラシーのある私でもやはり、1番重要になるのがこのシステムサポートの品質です。

各社品質についても開発力と同様に本当にバラバラです。

ecbeingやfuture shop、ECForceについては、サポート窓口がそもそもECについてかなり詳しい担当が多いです。

老舗であることや、D2Cを中でやっているのも特徴だと思います。

品質の高いサポートは、システムの使い方だけでなく、「今業界がこうなっているからこういう使い方をしたほうがいい」とか「広告のCVRが悪いので、この機能をONにしたほうがいいですね」とかコンサルティングを受けているような対応をされます。

一方で、他のベンチャーが提供するカートシステムは、そもそもEC業界に詳しいというよりは、半ばSIerのような形で参入している企業が多く、当然サポートもシステムの使い方を答えるだけの品質レベルが多いです。

1つのオペレーションで数千万円が動いたりする、カートシステムなので、サポートの人間がシステムの使い方だけ語れるのは心もとないというのが正直なところです。

ECを拡大していくからこそ、サポートの品質は最も重要と言っても過言ではありません。

4. システム利用料に騙されるな

カートシステムの利用料は似通っていますが、高い、安いは差があります。

前述もしましたが、ecbeingやfuture shopは独自ショップを作り込むようなケースが多いため、費用はお高くなっています。

makeshopやリピストなどはカートシステムとしては比較的お安くなっています。

たまごカートや、ECForceはその中間ぐらいの費用感です。

ですが、誤ってほしくないのは、システム利用料金なんてものはEC事業を運営する中で微々たるコストであるということです。

実際、私が運営に携わっている最も大きなショップで年商100億規模ですが、システムに支払っている年間の料金は、ざっと4000万程度です。

100億の中の4000万ですよ。

カートシステムは本当に安かろう、悪かろうです。

費用の差より、上記で語っている、新機能開発のサービスとしての将来性、それを有言実行できる開発力、心強いサポート力で選んだほうが圧倒的に大切です。

この記事を読んでいただいている方には、月額利用料の安いカートシステムを選んで、将来を閉ざすような選択をしないようにしてもらいたいと思っています。

まとめ

いかがだったでしょうか。この業界で長い私の主観もはいった内容でしたが、以下の4つのポイントで選ぶべきだと思います。

1.カートシステムの将来性

2.カートシステム運営会社の開発力

3.開発会社のサポート力

4.コスト比較による意思決定をしてはいけない(全体から見ると大きなコストではないから)

カートシステム選びは本当に事業の将来性を決めます。

一度失敗してしまったら、中々、カートシステムを乗り換えることは簡単ではありません。

これらの記事を読み、みなさまのEC事業が拡大してくれることを願っています。